20 Dec

アイントホーフェンで光チップに関する欧州パートナー会議

フォトニクスは、数10億ユーロの市場になる可能性がある、新しい技術であります。革新的な中小規模の企業(SMEs)が、開発の最前線にいますが、R&DコストはSMEsにとっては、極めて高過ぎるのが現状です。そこで、北西ヨーロッパの12にのぼるパートナーが、自由に使うことのできるパイロットラインを作り、新しい製品の試作製造のコストと時間の削減を徹底的に行うことを試みています。この新施設は、新しい千に上る企業と数千の雇用のためのインキュベータになると見込まれています。この1400万ユーロのプロジェクト(OIP4NWE)は、欧州地域開発基金により支援され、今週アイントホーフェンで開始されます。

フォトニクスは、エレクトロニクスに似ていますが、働き手として電子の代わりに光(フォトン)を使います。必要なエネルギーはもっと少なく、高速であるので、新しい可能性が豊かに拡がります。フォトニクスが解決するのに役立つ、重要な問題の1つが、データセンターにおいて爆発的に増大するエネルギー消費であり、光マイクロチップは従来の電子チップよりも、エネルギー消費が著しく少ないというメリットがあります。他の例としては、航空機翼や橋梁、高層ビルディングの高精度監視システムがあります。

20年に渡るフォトニクスの基礎的研究の後、当初光集積回路(PICs)を製造した企業で、軌道に乗っている例は、稀なのが現状です。主な障害の1つは、R&Dに関わるコストです。PICの製造には、クリーンルームに設置される高価なハイテク装置が必要であるだけでなく、現状、製造プロセスは未だに欠陥率が高く、非常に低速であります。このようなことは、基礎研究では問題ありませんが、商業化のためのR&Dでは障害になります。1から9までの技術成熟度レベルで言うと、現在のレベル4からレベル7へ引き上げられなければなりません。

フォトニクスの拠点であるアイントホーフェン工科大学(その光集積技術センターと連携して)が指導する新しいプロジェクトは、ヨーロッパのSMEsが共同使用する効率的なパイロット製造ラインの実現を基本とします。試作製造における欠陥率を下げ、スループット時間を短縮しなければなりません。全体として、コスト削減に繫なげ、そして新しいフォトニクス製品開発のハードルを著しく下げる必要があります。このようにして、プロジェクト完了後10年内に、光集積関連で千社を立ち上げる支援をしなければなりません。

前段プロセス(リン化インジウムのウェハーを使ったPICs製造)は、アイントホーフェン工科大学における既存のNanoLab@TU/eクリーンルームで実現されます。様々な企業のPICsが1つのウェハーに組み合わせられて、コストを低く抑えます。後段プロセスは、ブリュッセル自由大学(ビーム成形と光結合の光学)とアイルランドのコークにあるティンダル国立研究所(光ファイバー接続とエレクトロニクスのパッケージによる組み立て)において実施されます。全ての段階が、製品の欠陥を避けるため、ナノスケールの精度が必要です。

プロジェクトの最初の段階は、装置の導入です。第2段階は、装置の自動化に注力し、第3段階は、装置メーカーと協力して詳細な産業化の研究に取り組み、新プロセスの最適化と開発を行います。ラインは、2022年にはフル稼働しなければなりません。SMEsの最初の始動を奨励するために、外部SMEsに向けたバウチャー制度が立ち上げられます。

関係のある他のグループは、AIXTRON SE(ドイツ)、オックスフォード・インストゥルメンツ・ナノテクノロジー・ツールズ(英国)、SMART Photonics、VTEC Lasers & Sensors、TEchnobis Fibre Technologies(全てオランダ)、そしてmBryonics Limited(アイルランド)の企業群と、Photonics Bretagne(フランス)、Cluster NanoMikro Werkstoffe Photonik. NRW(ドイツ)、Photon Delta Cooperatie(オランダ)の研究センター群です。

プロジェクトの全体予算は、1390万ユーロです。この中で、EUが830万ユーロを支援し、残りは参加機関が支出します。

以上

(発信)オックスフォード・インストゥルメンツ・プラズマテクノロジー