17 Jul

2D材料向けに、ALDプラズマ処理システムを開発

オックスフォード・インストゥルメンツのALD&2D技術専門チームは、アイントホーフェン工科大学の研究チームと連携し、ナノデバイス用途に向けて、2D遷移金属ジカルコゲナイドの原子層堆積(ALD)技術を実現しました。

この目的のため、このような2D材料の成膜を目標として、専用のオックスフォード・インストゥルメンツFlexAL ALDシステム構成が構築されました。FlexAL-2D ALDシステムは、2D材料の成膜に対して、多くのメリットがあります。

  • H2SプラズマおよびH2Sガスの投入
  • 高純度の成膜および作動条件を可能にする、真空予備室とターボポンプ
  • 200mm径ウェハ-に於ける成膜
  • 同じツールによって、2D材料の上にALD誘電体および他のALD層の成膜が可能
  • 高温用のテーブル(常温から600℃まで)
  • プラズマによる、チェンバーの洗浄およびコンディショニング
  • いっそうのプロセス柔軟性向上に向けた、RF基板バイアスのオプション
  • 分光偏光解析法および質量分析法を用いた、プロセスのその場観察のオプション

原子層堆積技術(ALD)は正にナノテクノロジーであり、数ナノメータの超薄膜を、高精度に制御された方法で堆積することが可能です。原子層堆積技術には、2つの明確な特徴があり、1つは自己制限的な層ごとの成膜、もう1つは形状に非常に忠実なコーティングであります。このような特徴は、半導体技術やMEMS、そして他のナノテクノロジー用途において、多くのメリットをもたらします。

FlexAL-2D ALDシステムは許容パラメータ範囲が広いので、2D遷移金属ジカルコゲナイドの成膜を、CVD装置におけるよりも低温で行うことができるこが期待されています。ALDプロセスで使うことに加えて、H2Sプラズマおよび純H2Sガスを採用することができるので、直接的な硫化プロセスが可能になります。450℃またはそれより低温におけるALDによる2D MoS2材料の成膜に関する最初の報告が、2017年7月16日のデンバーにおけるALDコンファランスで、アイントホーフェンの研究者により発表されました。

オックスフォード・インストゥルメンツ・プラズマテクノロジーのALD製品マネジャーのChris Hodsonはこの研究成果に喜んでおり、「アイントホーフェン工科大学のBol博士とプラズマ&材料処理研究チーム(PMP)は、ALD研究の限界を新しい応用領域へと押し広げています。2D材料は注目されている分野であり、低温での成膜を可能にするALDを使い、ALDデポジションや他の処理方法を活用して、200mmウェハ-の2D材料を可能にすることは、多くの可能性を持った革新的な能力を実現します。」

Ageeth Bol博士は、「我々のニーズに合わせて構成された、オックスフォード・インストゥルメンツの新しいALD FlexAL配置によって得られた成果に感動しています。」と語っています。研究チームは、特に、相対的に低い温度に興味を持っていると、Bol博士は説明しています。「CVDプロセスでは、通常、1000℃以上の温度が必要です。これは、半導体用途では、しばしば致命的です。何故なら、高温は、原子の拡散を促進して、正しい場所に堆積させるのが難しくなるからです。低温で高品質の材料を生成するプロセスが欲しいのです。低温では、層間の原子拡散が抑制されるので、現在手掛けている2次元ヘテロジーニアス層では、特に重要であります。」